Monday, September 8, 2008

Evening Lecture Kyoto August the intersection of PHOTO「写真の余白に」(全4回)

「写真の余白に」第2回(全4回)

『風景と転地―場所とイメージをめぐって』

2008.9.12(金)20:00-21:30@MEDIA SHOP

Charge 1,000円(学生)/1,500円(一般)with 1drink

講師:佐藤守弘(サトウ モリヒロ)

■風景と転地―場所とイメージをめぐって■

「風景」を見て楽しむということは、実はそんなに昔からあるものではなく、たいへん近代的なことだと言われている。端的に言えば、風景とは、自然を「見られる対象」として額縁に押し込めることによって、人間を「見る主体」として成立させる認識のシステムであると考えられる。それは、ヨーロッパの幾何学的遠近法と深く関わり、そして帝国主義の時代にいわば最盛期を迎えたものと言ってもよいだろう。そしてそれは、今や何となく古くさく、そして陳腐なものとなってしまっている。

本レクチャーでは、風景を楽しむという風習がどのように成立したのかを、まず19世紀における旅行写真の隆盛を検証することによって考えてみたい。旅行写真とは、世界中の風景や人々を写した写真のことで、ヨーロッパの受容者に世界の情報を伝える役割を果たしたものである。それは、18世紀来のピクチャレスク美学や、近代的科学としての地理学の成立と深く関わりを持ち、また博覧会や観光旅行とともに、世界を可視化するというプロジェクトの一端をなしていた。すなわち、世界を風景として見る装置である。

言い換えれば旅行写真とは、非ヨーロッパ世界を「見られる対象」とすることによって、近代ヨーロッパを「見る主体」として確立するための装置であったと考えられよう。とはいえ、「機会の眼」である写真というメディアは、時に人間の作り上げた風景というシステムを裏切ってしまうことがある。

本レクチャーの後半では、そうしたほころびを、「転地(displacement)」という概念をキーワードとして考えてみたい。

■佐藤守弘(サトウ モリヒロ)

1966年生まれ。同志社大学大学院退学。芸術学、視覚文化論。現在、京都精華大学デザイン学部准教授。
論文に、「<オールド・ジャパン>の表象―横浜写真と19世紀後半の視覚文化」(『文化学年報』52輯)など。第7回重森弘淹写真評論賞受賞。関西を中心に活動する写真研究会に参加。

■申し込み・問い合わせ

event@media-shop.co.jp

tel.075-255-0783


■Evening Lecture Kyoto:シリーズ「写真の余白に」■

終了 8月29日(金) 「写真と指紋」

橋本一径(ハシモト カズミチ)指紋研究、表象文化論。

■9月26日(金) 「異像と徴候―ステレオ写真と身体動作―」

細馬宏通(ホソマ ヒロミチ)滋賀県立大学人間文化学部

■10月10日(金) 「心霊写真のBefore/After」

前川修(マエカワ オサム)神戸大学人文学研究科准教授

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皆様の御参加をお待ちしております!

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